彼らと出会ったのは 200X年 夏

 街の喧騒から遠く離れた山中。
 多くの生命を残す、豊かな自然の中に小さな村がある。
 村の名は ≪羅雪村≫ と呼ばれていた。

 ≪羅雪村≫ には小さな旅館があり、あまり知られていない温泉がある。
 大自然の中にある露天風呂の景観は、季節や昼夜問わず一見の価値が
 あると、温泉マニアの間で噂されている秘湯だ。
 そんな情報を得て、村に旅行に訪れたのは若い男女四人。

 朝霧遠矢、柊尊、菜月綾芽、三枝叶の大学生四人組。
 彼らが村へやってきたのは不幸だった。
 だが、彼女の言葉を借りるのなら、それも運命だったのだ。

 事件は唐突に起き、言葉を亡くした無残な死体は、ただ狂気を纏う。
 姿無き殺人者。村の伝説と秘密。過去と未来を繋ぐ絆。そして運命。
 すべては一つの言葉に支配されている。

 この世には、鬼がいるのです
 旅館の女将は静かに語り、その言葉は闇夜に響いて、静かに炎を揺らす。
 運命という巨大な歯車は、ゆっくりと……だが確実に廻り始めていた。
 まだ若い彼らを中心にして。



 羅雪村は一番近い街からも離れた山の中にある村だ。
 村の温泉は村人が利用しているだけの秘湯だったが、
 最近になって一部のマニアに知られてきた。
 そこでウチの編集部が旅館と交渉して、俺達はその秘
 湯を取材させてもらいに村にやってきたってわけだ。

 それにしても、「この世には鬼がいる」か……。
 いったい、どういう意味なんだろうな?